企業のマーケティング考―顧客と向き合う各種側面と5つの手法
企業のマーケティングとは、いったい何を指すのでしょうか。
当然、マーケティングの目的は「売り上げを作ること(企業に利益をもたらすこと)」につきます。そしてマーケティングとは商品の開発から販売、プロモーション、ユーザーフォローに至るまでの、顧客に向き合う活動すべてを指します。
このエントリーでは、ざっくりとマーケティングの基本に触れます。いきなりマーケティングを任された、新米担当様の参考になれば幸いです。
市場調査から企画・立案
マーケティングはまず顧客視点に立って、自社商品の価値を考える必要があります。
たとえばゴルフクラブを新しく購入しようとする人がいるとします。
その人は「鉄の棒」が欲しいのではなく、「よりよいスコアをたたき出すための道具」を欲しています。
このように、商品=顧客のニーズを満たすもの、と定義します。
競合他社はどんな商品をどのような謳い文句で、どのような媒体で広告しているでしょうか。
そして、自社製品で工夫できる点はないでしょうか。
モノを売る以前に、市場調査や企画・立案といった段階を踏まなくてはなりません。
これは、既に取り扱っている商品やサービスのブラッシュアップのためにも必要な段階です。
セグメンテーションとターゲティング
どのような優れた商品であっても、万人受けすることはあり得ません。
そこで価値とニーズのマッチングを図るため、セグメンテーションとターゲティングを行います。
セグメンテーションは顧客ニーズを元に顧客のイメージを絞る事。そしてターゲティングはこれら顧客のイメージから「本当に売りたい人たち」を決定する事です。
このセグメンテーションとターゲティングは2つで1セットです。
広告手法の検討
セグメンテーションとターゲティングによって具体的な顧客イメージ“ペルソナ”を導き出したら、次はどのようにしてペルソナに商品を認知してもらうか検討します。
あなたが特定したペルソナは、どんな媒体に触れることが多いと想像しますか?
20~40代であればウェブサイトかもしれません。それ以上の世代であれば、テレビCMや新聞広告かもしれません。
このように、ざっと世代で考えただけでも広告を出す先は大まかに分かれます。
【手法を考える・1】費用のかからない方法からテストする
ターゲットの媒体を特定したとしても、新聞広告などいきなり高額な広告費を使うのはリスクがあります。数多くある広告方法をいくつか試しながら、この方法がベストだと思える「正しいシナリオ」を導き出さなければなりません。
そのテスト期間では、極力お金のかからない手段を優先してトライ&エラーを繰り返す必要があります。
チラシを作ってポスティングする、FAX-DM、自社サイトをブロガーに紹介してもらうなどが安く実施できる活動はたくさんあります。
【手法を考える・2】安価な方法であっても大量に行わない
ポスティングやDMなど安価な方法であっても、いきなり大規模な広告活動を行ってもリスクはあります。100単位、1000単位などサンプルとして十分な程度の規模で実施し、その反響を観察するのが常套手段です。
ターゲティングは間違っていなかったか、配布するエリアは最適か、チラシなどの文言や写真がペルソナの好むものであったのかなどのチェックを行うためです。
少量ずつであれば、手直しも気軽に行うことができるのです。
確かに印刷にかかるコストは、大量であればある程1枚当たりは安くなりますが、一度に刷ってしまえば手直しができません。
この方法が最適だ、という手ごたえを得るまでは、少量印刷でテストを繰り返してください。
【手法を考える・3】一方的な「送り付け」に終始しない
テスト媒体には「無料サンプル」「資料請求」「合言葉で商品を○割引」といった具体的な行動喚起を明示してください。
チラシ1枚でも、単に認知という役割だけでなく、ペルソナに次のアクションを引き出すための仕掛けを施しておかなければ意味がありません。
もしも対面でしか商品説明ができないような特殊な商品やサービスであれば、電話番号の下に「御社へお伺いする時間をご指定ください」「社外であってもご指定の場所にお伺いします」といった気軽にレスポンスができるオファーを用意しておいてください。
【手法を考える・4】WEBには物語を
ウェブ上では大企業から個人が販売する商品まですべてが一挙に比較されます。
そこでわかりやすいページに、商品説明だけでなく、製品化するまでのストーリーや秘話、使いこなし方、お客様の声、自社の歴史などをコンテンツとして用意してください。
類似した商品やサービスの場合はとくに、顧客が求めるのは“信頼感”です。
とくに比較・検討の段階で信頼を勝ち得るために、自社の情報をできるだけオープンにして積み上げたコンテンツが有効です。
大手量販店で「お客様のご意見」「店長の答え」が大きなコルクボードに貼ってあるのを見たことがあるでしょう。これも、信頼感を勝ち得るため、顧客と店との情報交換を見える化したものです。
【手法を考える・5】対面がベスト
いろいろ手法を申してきましたが、対面にかなうものはありません。
人は、目にする文字や画像を「確証バイアス」によって自分にとって都合よく理解してしまいます。そして、商品やサービスに過大な期待を抱き、使い始めた時に「こうではなかった」と落胆することも少なくありません。理想とのギャップが激しいほど、顧客満足度を大きく下げる要因となります。このようなトラブルは、対面での営業やアフターフォローが主流だった時代にはさほど多くはありませんでした。
今ではWEBサイトや通販サイトなど、いわば一方的な営業が主流になったことからこのような反応が増えています。
使用法でつまずいても、対面や電話であればこまめな対応ができるために感情的にならずに済んだものが、今ではメールという書き手・読み手共にスキルが必要な方法を取るようになっている故の悩みです。
人の心をつかみ、離さず、ケアできるのは対面の営業ならではのメリットと言えます。
終わりに
企業のマーケティングはトライ&エラーの繰り返し(PDCA)。そして最後は信頼です。
モノであふれかえっている現代、「商品を作れば自動的に売れる」ことは少なくなりました。
「信頼できるところから買いたい」―そうした消費者に対し最終的に勝ち残る要因は、営業マンの人間力かもしれません。