【春闘】東芝離脱で揺らぐ統一交渉 企業間の業績格差拡大
2016年の電機業界の春闘にて、統一交渉を主導する6社の一角である東芝が、初めて離脱する異例の事態となっているそうです。
東芝は企業間の業績格差の拡大を受けての離脱であり、中国経済の減速も相まって業界全体で業績の先行き不透明感が強まっているとも報じられています。
「大変残念ではあるが、(東芝、シャープの)両労使に社会が求めているのは一刻も早い業績回復だ。対応をお願いする」。東芝とシャープの離脱が正式に承認された電機連合の第1回中央闘争委員会で有野正治中央執行委員長は厳しい表情でこう述べた。
東芝は7100億円の最終赤字を計上する見通しとも言われており、約1万人の人員削減に踏み切りましたが、財務の健全性を示す自己資本比率も10%以下の「危険水域」に沈むなど経営が悪化しています。
これは単純に赤字になったのではなく、利益水増し、粉飾決算をしていたからこそ黒字に見えていた話なので、遅かれ早かれこうなることは誰しも予想がついたこととも言えます。
東芝が主力事業軒並み悪化で赤字転落 リストラ不可避 - 新規顧客獲得への道|フルコミドットコム
昔はどんな会社もベア(ベースアップ)が当たり前だった
この日の中央闘争委員会での各労組の現状報告では、月3000円のベースアップ(ベア)要求などに対し、経営側からは「足元の経済減速や円高株安などが業績に与える影響を見極める必要がある」(日立)、「慎重に検討せざるを得ない」(沖電気工業)といった慎重な反応が明らかになった。
昔は終身雇用という制度から、「賃金はベースアップが当たり前」という風潮でしたが、その終身雇用すらも脆くも崩れ去った今となっては、ベアは形骸化どころか形すらなくなってしまったと言わざるを得ません。
働き方や雇用条件も各個人で大幅に変わってきている今の時代に、ベアという考え方自体がナンセンスなのかもしれませんね。
完全歩合制の営業職の方にとってみれば、非常識な話だと感じることもあるでしょう。
(もちろんベアに見合う仕事をした、成果を出したのであれば会社、企業と堂々と交渉するべきですし、納得がいくまで話し合うべきでもありますが。)
個人として交渉することを見越しておく
賃上げはコスト増につながるため、手元資金を確保しておきたい経営側との交渉難航は避けられない情勢だ。電機連合幹部は「東芝が離脱しても、統一交渉を続ける考えは微塵(みじん)も変わらない」と強気な姿勢を崩さない一方、「来年以降は分からない」とも話す。
企業が業績悪化で離脱する動きが繰り返されれば、統一交渉をやめることも考えざるを得なくなりそうだ。
経営者側から見れば労働者側の結束が弱まることは、(正直)喜ばしいと感じることもあるでしょう。
だからといって私達労働者は何も出来ない、言いなりになるしかないというわけではありません。
私達一人一人が「一個人のプロ」として給与交渉することを今のうちから見越しておくべきだと私は考えます。
今後は自分がどれだけの仕事をしたのか、また、成果を出したのかをちゃんと報告できるように常日頃から意識しておくべきでしょう。
漠然と「頑張ってます」だけでは説得力もありませんし、そうした力(交渉力)をつけておくことはビジネス上では色々な場面で優位に働きます。
「雇われている」と考えるのではなく「今はこの会社に属しているだけ」と考えるほうが、どこに行っても即戦力となる力が身に着きますよ。