【経営者育成】三菱UFJ、2年間雇用 若手研究者に起業伝授
三菱UFJフィナンシャル・グループは、起業を目指す先進技術の若手研究者らを2年間は正社員並みの待遇で雇用し、ベンチャー(新興企業)経営者に育てる事業を始めるそうです。
若手研究者に起業伝授…三菱UFJ、2年間雇用 (読売新聞) - Yahoo!ニュース
いずれアップルやグーグルのような世界的企業に成長すれば、将来の大口顧客になることを期待しているとのことです。
今回の取り組みは国内外で行われている民間による起業家の育成支援事業は数多くありますが、日本では極めて異例の取り組みだといい、邦銀として初の試みとなります。
・・・ただ、そう簡単にはいかないでしょうし、もちろん銀行側もそんなことは既に織り込み済みでしょう。
2年でモノになるものはごく僅かですし、そんな中で1つでも大きく成功すればお釣りが来るぐらいに十分ペイ出来ると算段したからこその試みとも言えますね。
しかし、それでも多分に違和感がある話です。
年齢、経験制限は逆に可能性を狭めると思える
対象は、20歳代前半から30歳代前半までの男女で、理系大学院の修士号を持つ若手研究者や起業経験者ら。医薬品や再生医療など先進医療に関する分野や、ロボット、宇宙開発など、今後、世界的な産業に発展する可能性がある分野を想定している。
これはあくまで私の意見、考察ではあるのですが、研究者ならまだしも若くして企業経験のある人ならば正社員の待遇では不満でしょうし、融資の交渉の経験も多少はあるでしょうから、野心のある人にとっては満足度は低いものになると思われます。
(資金繰りがうまくいかない、苦手な人には有効な施策ではあるとは思いますが・・・)
また、年齢制限はもちろん、融資のジャンルを絞ることはナンセンスだと私個人は思います。
世界的な産業に発展する(と、考えられる)ものにしか融資しないと絞っているのは、成功すればそれ以上にペイできるし、失敗するリスクも少なくなることを見越しているからということは理解はできるのですが、結局は「いいとこどり」したいだけとも捉えることが出来ます。
(それが「融資」というものだと言えばそれまでですが・・・)
むしろ経験も年齢もしっかり重ねた上で起業する人のほうが、それだけの覚悟がある(リスクを取る覚悟がある)でしょうし、間違った選択や舵取りを失敗することが少ないこともあると私は考えます。
結局はメリット、デメリットをどう見るか、判断するかの問題ではあるのですが、最初の窓口からかなり狭いといい意味で「枠から外れる」人が現れる可能性がかなり少ないのではないかと考えます。
起業家育成ではなく研究者育成?
2016年から10年間、毎年最大3人を傘下のコンサルティング会社三菱UFJリサーチ&コンサルティングで採用する計画だ。給与などは正社員並みの待遇となる見通しで、大学院の研究活動などと兼務できるようにする。期間中の研修費用を支払う必要はない。
どうも起業家育成というよりは、研究家育成のための制度に見えてしまいますね・・・
知識と知恵は違うものですし、どちらかというと仕事に必要なのは知恵のほうです。
(この制度ではどちらかというと前者を集めることになるのではないかと。)
願わくはこの制度から知識と知恵を兼ね備えた優秀な人材が表れることを期待するのみです。