米マクドナルド、経営陣刷新も加盟店では効果出ず
マクドナルドは日本だけでなく、アメリカでも苦境に立たされているようです。
マクドナルドの米国事業に対する加盟店の見方は引き続き悪化しており、マクドナルド本部との関係は過去3カ月間、最低水準に落ち込んだということが報じられています。
米マクドナルド、経営陣刷新の効果出ず=加盟店 (ウォール・ストリート・ジャーナル) - Yahoo!ニュース
日本では記憶に新しいところでは「異物混入騒動」が起こったことで、マクドナルドは深刻な客離れが起きました。
アメリカでも客離れを防ぐべく、メニューのスリム化、中間価格帯のメニューの追加などに取り組んでおり、さらにドライブスルーのサービス迅速化に努めようとしているようですが、調査対象となった加盟店オーナーたちは、こうした措置はまだ実を結んでいないと述べているようです。
売上が悪いから本部との関係性も悪いのか。
本部との関係性が悪いから売上も悪いのか。
(むしろ両方とも正解で負のスパイラルに陥っているのか。)
どちらが正しいのかは分かりませんが、本部と加盟店の関係は悪いことだけは確かであり、信頼関係を取り戻す(楽しく働いてもらう)ことが急務と言えるでしょう。
ちゃんと足元を見ているのか
調査には加盟店オーナー29人(マクドナルドのレストランを合計で208店舗運営)が回答した。29人によれば、向こう6カ月間の米国事業の見通しは、カリノフスキー氏がこの四半期調査を実施してきた過去12年間で最低水準に落ち込んでいる。この見通しは、4月に報告された前回の最低水準よりもさらに悪化している。回答した加盟店オーナーたちはまた、マクドナルド本部との関係について、調査の歴史で最も低いと答えた。
マクドナルドの広報担当者は「全米でマクドナルドのレストランを保有し、運営している加盟店オーナーは約3100人に達している。このリポートで調査対象とされた人数は1%にも満たない」と述べた。そして「われわれは加盟店オーナーからのフィードバックを重視しており、彼らと確固たる関係を維持している」と述べた。
これは私の推論ですが、本部はちゃんと足元を見ていない、状況を正確に把握できていないのではないかと考えられます。
(もしくはあえて「知らないフリ」をしているのかもしれません・・・私はどうしても穿った目で見てしまいますが。)
あなたが「親しくしている」「連絡を密に取っている」から大丈夫だと判断しても、それはあくまであなたの一方的な判断、評価であり、相手側も同じ判断、評価をしているとは限りません。
むしろ今回のように、お互いの関係性の捉え方に齟齬があるほうが自然とも言えます。
この記事を読む限りではそのギャップを埋めるための施策、コミュニケーションはしっかり取れていたのか少々疑問に感じます。
マクドナルドは、2年以上にわたる販売不振からの巻き返しに努めている。例えば同社の新しい最高経営責任者(CEO)、スティーブ・イースターブルック氏は経営陣を刷新したほか、膨れあがった米国のメニューのスリム化、中間価格帯のメニューの追加などに取り組んでおり、さらにドライブスルーのサービス迅速化に努めようとしている。だが、調査対象となった加盟店オーナーたちは、こうした措置はまだ実を結んでいないと述べている。
縛りが更に悪化を招く
一部の加盟店オーナーは、何年かにわたる店舗の改装や新装備への投資で借金を抱えており、事業を拡大するための追加投資ができないと不満を訴えている。レストランの運営者にとって最大の出費である労働コスト削減の方法として、セルフオーダー(無人注文)方式のキオスクを導入したり、レストランの営業時間を短縮したりしている加盟店オーナーも少なくない。
カリノフスキー氏の調査は、一部の加盟店オーナーの財務状況が悪化していることを示唆している。ある加盟店オーナーの回答者は、幾つかのオペレーターが20年のフランチャイズ契約の期限切れに近づいているが、契約を更新できないかもしれないと指摘している。彼らに義務付けられている財務上の最低基準を下回っているからだという。
各現場の状況によって有効な施策、タイミングは違うものです。
人手が足りない、労働コスト削減を行いたい店舗にとってはメニューのスリム化はありがたいでしょうが、その他の施策、設備投資などはなかなか実現が難しいものです。
また、売上が落ちていることでフランチャイズ契約で義務付けられている財務上の最低基準をクリア出来そうにない、頑張っても無理に近いということも加盟店のモチベーション低下に繋がっていると予想されます。
クリア出来ないのなら潰してしまえと考えることもアリですが、ただ潰してしまうだけでは次に繋がるものを何も掴めないままになってしまいます。
営業も同じです。
成約を取れない営業を切って、替わりの営業を雇う。
その営業も成約が取れないなら、また替わりの営業を雇う。
果たしてそれをいつまで続けることが出来るでしょうか?
同じ失敗でも状況、タイミングによって理由も変わってきます。
なぜうまくいかないのかをしっかり分析し、理由を明確にしないといけません。
失敗の経験、ノウハウも企業の立派な資産です。
本当の無駄というのは、失敗から何も学ぼうとしないことではないか。
そんなことを今回のニュースから感じました。