「3億枚市場」はウソ クレジットカード統計の大幅水増しから仕事を考える
あはたは何枚のクレジットカードを持っていますか?
私は3枚のクレジットカードを持っています。
突然こんなことを言い出したのは、以下のようなニュースを目にしたからです。
「3億枚市場」はウソ クレジットカード統計“大幅水増し”はなぜなされたか (産経新聞) - Yahoo!ニュース
日本クレジット協会が発表した、過去10年分のカードの発行枚数と取引額などの統計数値が大幅に下方修正され、長年誤った数値を公表し続けたずさんな管理体制であったことが報じられています。
クレジットカードといえば信用取引の代名詞とも言えますが、そのおひざ元である協会が発表した数値が水増しされていたというのは何ともいただけない、信頼そのものが揺らぐ事態と言っても過言ではありません。
今回はクレジットカードの話題に伴い、仕事における信用について考えてみます。
“ひっそり”と訂正
記事には「業界特有の事情があった」として、その理由が続けて書かれていますが、どう言い繕っても言い訳にしかならないと言わざるを得ません。
大がかりな訂正であったにもかかわらず、記者会見は開かれず「御用納めの日にどさくさに紛れて」公表したようにも映るというのが業界関係者の言葉です。
協会側は「統計の精査に時間がかかり、いち早く公表することを最優先にしたらその日になった」と公表のタイミングについて説明していますが、ただでさえ間違えたことを公表せず、また、ひっそりと修正した時点で信頼に足る行動ではないことは確かです。
数値を水増ししていた?
また、今回の統計修正の背景として、某大手クレジットカード会社が数値を二重計上し、数値を水増しした可能性があるとのことです。
水増しの理由が「発行枚数や利用金額はカード会社の勢力図の象徴。顧客がメーンカードとして使っているかわかってしまう」ためだと書かれていますが、そんな業界の論理を消費者にぶつけられても知ったこっちゃないと言わざるを得ません。
更にクレジットカードは経産省が所管しますが、統計訂正について経財省は「民間団体の調査のため行政処分などの対象外」(商務情報政策局商取引・消費経済政策課)としているようです。
実質的に罰則がないようなものであり、こんな管理体制であれば、ずさんな統計調査、水増しが続くのも当たり前というものです。
問題を放置してもいい環境であるのですから。
確かに発行枚数、利用金額が大きければ大きいほど、そのカードの勢力は大きいというイメージを消費者は持ちますが、その情報すら嘘であるのならそのカード会社はもちろん、クレジットカード業界そのものの信用が落ちます。
自らの手で業界を衰退させることにもなるのだという自覚を、関係者全員に持っていただきたいものです。
実害が発生したわけではないという認識
元の記事にも書かれていますが、「実害が発生したわけではない」という業界の認識がこのような怠慢かつ、嘘がまかり通る状況、雰囲気を作り出しているのでしょう。
2020年オリンピック・パラリンピック東京大会の開催もあり、訪日外国人は年々増加し、クレジットカードが使用される機会はかなり増えます。
並行して電子マネーの多様化や、「おサイフケータイ」など決済機能が内蔵された携帯電話の普及も進んでおり、今後は更に電子決済が増えることは間違いありません。
だからこそ業界の方は襟を正して欲しい、ぜひとも是正して欲しいと願っています。
まとめ
クレジットカードに限らず、仕事における「信用」はとても大切なものです。
どんな仕事でも言えることですが、仕事先で説明を行った数字が後で間違えだったと分かった場合、あなたはどうしますか?
正直にお客様に説明し、謝罪しますか?
それとも黙って資料を修正し、後は知らんぷりですか?
後者の場合、その時点で「間違い」は「嘘」になり、「誠実」は「不誠実」となります。
(場合によっては「信用」を失うどころか「罪」にすらなることもあります。)
その行いはあなただけでなく、所属する会社の、更にはその業界の信用すら落とすことになります。
成約を勝ち取るために営業活動時に多少はオーバーに言う、脚色を行うこともあるでしょうが、絶対に嘘だけはいけません。
「誠実であること」
それこそが営業の、そして仕事の成功の法則です!